NYK 日本容器工業グループ 株式会社エヌ・ワイ・ケイ

TOP 鋼板製一体型水槽 食品用タンク ライニング 会社案内 お問い合わせ

特集 第22回 プロフェッショナル

街の中の数多のプロたち。
その輝きに触れて。

 

NYKNews Vol.23(2011年1月掲載)

 

「すみません、会員カードを忘れました」
クリーニング屋さんのカウンターで衣服を置きながらそう言うと、受付の女性は「大丈夫ですよ」と、手際良く種類や素材、付属品を確認し、次々とレジに打ち込んでいきました。
山のようにあった衣類はあっという間に、しかも綺麗に重ねて仕分けされ、それだけでも「凄い」と思いましたが、渡された預かり票を見てさらに驚きました。冒頭に私の名前がフルネームで記されていたのです。
「私、名乗りましたでしょうか」と問うと、その女性は「お客さまのお名前はだいたいわかります」と、少しはにかみながら答えました。
決してお得意さまというわけではなく、衣替えの時など年に数回訪れるだけなのに…。この女性はクリーニング屋さんの受付のプロ!と感服しました。

 

街に出ると、様々なプロに出逢います。
例えば、家の近くのスーパーマーケット。そこには、レジ打ちのプロがいて、どんなに長い列ができていても、その女性のレジに並ぶと列はどんどん進みます。
女性は商品をピッピッピと確実にスピーディーに、それでいて丁寧に隣のカゴに移していき、お客さんが代金をトレーにのせるやいなや、サッとお釣りを差し出すのです。
あまり見事なので、ある日「鮮やかですね」と声をかけると、彼女は「そんなこと初めて言われました」と可笑しそうにクスリと笑いました。
また、このスーパーでは、レジが混むとチャイムが鳴り、あちらこちらから店員さんが出てきてレジに立つのですが、皆慣れた手付きでテキパキ対応し、長蛇の列は瞬く間に消えてしまいます。
その若い男性たちは、普段は鮮魚や精肉コーナーにいて、マイク片手に「本日のお買得品」や「タイムサービス」を流暢にアナウンスしたりしているのですから、彼らはスーパーマーケットのプロ。活きの良い仕事ぶりに、こちらの足取りも思わず軽くなります。

 

他にも、安全に軽快ににこやかに誘導してくれる工事中の交通整理のプロ。ご飯の量を覚えていてくれる食堂の店員さん…。
街のプロフェッショナルたちは、実にさりげなく、けれども確かな存在感を持ってそこにいます。もしかしたら本人さえそれと気付いていないことも?いいえ、やはりプロ意識が高くなければ、あのような卓越した仕事はできないでしょう。

 

尊敬すべき街のプロたちは、皆背筋がピンと伸びていて、瞳がまっすぐです。
仕事に対する姿勢が技能を磨き、プロフェッショナルとしての輝きを放っているのかもしれません。

 

特集 第23回 心を尽くして

心配り。
心尽くし。

 

NYKNews Vol.23(2011年1月掲載)

 

時折ランチに訪れる、ちょっとお洒落な和食屋さんがあります。
和食の名店で修行を積んだオーナーの料理は、夜のコースですと気軽にいただけるような値段ではないのですが、ランチは千円からあり、そのため昼時はいつも満席で、一日限定十食の御膳はほとんど幻。日替り定食でさえなかなかお目にかかることができません。

 

この店を訪れるのは、料理もさることながら、一流のもてなしを味わうことができるからです。
二~三のテーブルごとに部屋が仕切られているので、満席といえどガヤガヤ騒がしいということはありません。
照明が落とされた落ち着いた空間の、案内された席に着くと、さながらショーが始まる前のようにワクワクします。

 

まず出されるお茶は、熱くもなくぬるくもなくほどよい温度で、甘くてまろやか。丁寧に淹れられたことが伺われ、そのお茶を一口いただくと、これから始まる食事にますます期待が高まります。

 

そして、いよいよ料理が運ばれてくると、いつも心の中でワッと歓声をあげてしまいます。
お盆の上は、まるで芸術品のよう。
まず、器が美しい。ランチ時の慌ただしい時間にもかかわらず、土物の、ひとつひとつ大切に扱わなければならないような器の数々。
そして、それらを活かしつつ品良く艶やかに盛られた料理たち。

 

メインにサラダ、和え物、漬物、味噌汁などが付くのですが、例えば蕪や胡瓜の漬物には美しい飾り包丁がほどこされていて、食べてしまうのが惜しいほど。
サラダは、どこまでも細く薄く刻まれ、生野菜なのに口当たりが驚くほどなめらか。こんなに繊細なサラダは食べたことがない、と毎回感動してしまいます。

 

小さなサイドの料理にもこんなに心が配られているのですから、メインの料理は目を見張るばかり。舌触りも上品で、一口、口に運ぶごとに思わず笑みがこぼれます。
その間もタイミング良く幾度かお茶を注ぎにきてくれて、最後まで美味しく食事を楽しんでほしいという店主の思いを感じます。そして、大事にもてなされている幸福感に満たされるのです。

 

もてなしは、店を後にする時まで続きます。どんなに忙しい時間でも、店の人が玄関に出て「ありがとうございました」とにこやかに見送ってくれて…。
心地良い余韻に包まれながら、また来たいなと思うのです。

 

 

特集 第24回 夢に向かって

「好き」な気持ちが未来の扉を開く。

 

NYKNews Vol.24(2011年3月掲載)

 

「夢は、願った時にその80%が叶っている」
青春時代に、ふと耳にした言葉です。
好きなこと、そうなりたいと夢みたものには、すでに才能と可能性があるという意味なのでしょうか。
私は、この温かく力強い言葉に、幾度となく背中を押されました。

 

さて、私には小学2年生の子どもがいます。
「ただいま~!行ってきま~す!!」学校から帰るなり、大好きなおやつも食べずに、約束した公園に駆けていく元気な男の子です。

 

そのやんちゃ盛りの息子が、ある日「ピアノを習いたい」と言い出しました。
ピアノが弾ける男の子なんて格好いいなと思いつつも、単なる思い付きかもしれないので「毎日練習するの大変よ」と気持ちを確認するため、しばらく様子を見ることに。
しかし、息子のピアノへの想いはますますつのるばかり。毎日「ピアノ」「ピアノ習いたい」と言うので、とうとう近くのピアノ教室の門を叩きました。
ピアノの基礎といえば「バイエル」。テレビから流れる憧れの曲とはほど遠い右手だけの練習から始まりました。
これではすぐに飽きてしまうのではと思いましたが、毎日毎日練習し、右手だけ左手だけはほどなく終了。両手の練習に入りました。

 

練習曲はどんどん難しくなります。頭ではわかっているのに指が思うように動かない時もあり、そんな時は自分でももどかしいのか涙が溢れそうになりますが、それでも諦めずに繰り返し練習していると、ついに譜面通りに弾ける瞬間が。そんな時息子は「ピアノって楽しい!」と頬を紅潮させながら言うのです。

 

ある日ピアノ教室に迎えに行くと、息子がしょんぼりして出てきました。そして、消えそうな声で「先生、何も言うことないんだって」…。
「それはすごく上手で、何も注意することがないっていうことよ。最高の褒め言葉なのよ」と言うと「えーっ、そうなの!?」とパッと瞳を輝かせました。
愛しくて、ギューっと抱きしめたくなりました。まだまだ知らない日本語が沢山ある小さな男の子が、大好きなピアノを一生懸命頑張っているのです。その日「バイエル」には大きな花丸が描かれていました。
今日も息子は、日が暮れるまでたっぷり外で遊んだあと、眠い目をこすりながらピアノに向かっています。

 

子どもも大人も、みんな可能性のかたまり。
春です。
沢山の「好きなこと」に出逢えますように!

 

特集 第25回~第27回

関連ページ

ものづくりストーリー
当社の歴史を「ものづくり」にこだわった創業者、渡辺定次の半生と重ね合わせてご紹介させていただきます。
鉄学概論 創刊号~第3回
2007年から2014年まで皆様にお届けしたNYKNewsから、ご好評いただいたコラム溢水口の連載”鉄学概論”をご紹介いたします。
鉄学概論 第4回~第6回
鉄学概論 第7回~第9回
鉄学概論 第10回~第12回
鉄学概論 第13回~第15回
鉄学概論 第16回~第18回
鉄学概論 第19回~第21回
樹脂の話 第1回~第3回
このコーナーでは、樹脂に関する技術的なお話をいたします。
樹脂の話 第4回~第6回
樹脂の話 第7回~第9回
樹脂の話 第10回~第12回
山の話 第1回~第3回
筆者が登った北海道から九州までの日本百名山を、九州から順に簡単に紹介します。
山の話 第4回~第6回
山の話 第7回~第9回
山の話 第10回~第12回
シリーズ 災害 第1回~第3回
このコーナーでは、数回に渡って災害に関する話題を扱っていきます。
シリーズ 災害 第4回~第6回
水の話 第1回~第3回
このコーナーでは、水のコスト、名水、山の水、水災害、トイレの続き、お風呂など幅広くお話いたします。
水の話 第4回~第6回
特集 創刊号~第3回 | NYK
2007年から2014年まで皆様にお届けしたNYKNewsの特集コーナーです。
特集 第4回~第6回 | NYK
特集 第7回~第9回 | NYK
特集 第10回~第12回 | NYK
特集 第13回~第15回 | NYK
特集 第16回~第18回 | NYK
特集 第19回~第21回 | NYK
特集 第25回~第27回 | NYK
特集 第28回~第30回 | NYK
特集 第31回~第33回 | NYK
特集 第34回~第36回 | NYK
特集 第37回~第39回 | NYK
特集 第40回~第42回 | NYK