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樹脂の話 第7回

Vol.7 ポリメチルメタクリレート(PMMA)
また「ポリ」です。「アクリル」と言えばよく聞きますね。

NYKNews Vol.7(2008年5月掲載) 図:PMMAの化学式

 

1. ポリメチルメタクリレートとは
メタクリル酸エステルを重合して得られる高分子で、略号はPMMAです。ガラスのように無色透明であることから、有機ガラスともいい、板状のものを一般的にはアクリル板と呼びます。 

 

2. PMMAの特徴
2-1.長所
・透明度が高い。
・強度が高い。
・ガラスに比べて衝撃に強い。
・耐候性に優れている。
・着色が容易である。

 

2-2.短所
・ガラスに比べて傷が付きやすい。
・熱に弱く、可燃性である。
・耐溶剤性に劣る。

 

3. 用途
耐候性に優れ、発色の良いことから日光や風雨にさらされる場所に設置される看板や道路標識などに使用されています。ガラスと比べて耐衝撃性に優れており、軽量であるため、建築や乗り物の窓材にも使用されています。その他にカメラや眼鏡のレンズ、通信用の光ファイバーなどの用途もあります。
4. 大型PMMA製品
水族館で使われている大型水槽では大きな水圧に耐えられるようガラスを厚くする必要があります。ガラスを厚く積層した場合、ガラス中の鉄分などの不純物による光の散乱が起こり緑色に見えてしまいます。一方、高純度のPMMAを使用したパネルの場合は厚く積層しても不純物による光の散乱は起こりません。
また、ガラスを変形させるには約720℃もの高温を要しますが、PMMAでは約100℃で軟化変形し、260℃で成形できます。それゆえPMMAを使用した場合、ガラスと比べて容易に円形やトンネル型の水槽が成形できます。
このような点から大型水槽にはPMMAが多く使用されています。

 

沖縄県の美ら海水族館には世界最大の水槽がありますが、やはりPMMA製です。その大きさは高さ8.2m、幅22.5m、厚さ60cmでギネス世界記録にも認定されています。

樹脂の話 第8回

Vol.8 ポリウレタン
今、なにかと話題のスピード社の競泳水着。
これにも使用されています。

NYKNews Vol.8(2008年7月掲載) 図:ウレタン結合の化学式

 

1. ポリウレタンとは
ポリウレタンとはウレタン結合を有する高分子の総称で、略号はPUまたはPURです。ポリウレタンには原料、製造方法の違いから多種多様の性状、形状のものがあり、それぞれ特徴があります。ここではポリウレタンが私たちの生活のどのような場所で使用されているのかを紹介します。

 

2. 日常生活におけるポリウレタン
■塗料
ポリウレタン塗料は、耐摩耗性、耐候性、耐薬品性に優れており、ビルの外壁や自動車の外面塗装に使われています。また、木製家具の塗装に用いられる代表的な塗料でもあります。
■衣料品
ポリウレタン繊維を衣類にわずか数%組み込むことで伸縮性に富んだ生地になります。ポリウレタン繊維の特徴は、
・約5~7倍に伸縮する。
・一般的なゴムより細い糸が製造可能で ある。また、染色が容易である。
スポーツウエアや水着、ストレッチ素材のスーツやスラックスなどの用途があります。ただし、ポリウレタン繊維の寿命はそれほど長くないという一面もあるようです。
■クッション材
ポリウレタンを発泡させたポリウレタンフォームのうち軟質のものの特徴は、
・衝撃吸収性に優れる。
・通気性が良い。
・吸音性に優れている。
ソファーや自動車のシートクッション、ヘッドレストなどに用いられます。また、低反発枕やマットレスなどもこの素材で作られています。
■断熱材
硬質ポリウレタンフォームは断熱材として有名です。特徴は以下の通りです。
・熱伝導率が約0.02W/m・Kと小さい(押 出発泡ポリスチレンは約0.03 W/m・K)。
・気泡の大きさは約100~200μm。
・比重は約0.03g/cm3。
特殊な使用方法として、地盤沈下などで傾いてしまった建物を修正するのに硬質ポリウレタンフォームを用いる工法もあります。

 

ちなみに、ボウリングのハウスボールには主にポリエステルが使われていますが、いわゆるマイボールにはポリウレタンが使われているものが多いです。摩擦係数が高いため良く曲がり、反発係数も高いのでスコアがアップするはず?です。
皆さんご存じでしたか?

樹脂の話 第9回

Vol.9 ポリカーボネート
「象が踏んでも壊れない」アレは、これ製だそうですよ。

NYKNews Vol.9(2008年9月掲載) 図:ポリカーボネートの化学式

 

1.ポリカーボネートとは
モノマー単位同士の接合部がすべてカーボネート基(-O-(C=O)-O-)で構成されている高分子で、略号はPCです。PCはPMMA※1と同様に透明性を有する高分子です。また、他の高分子との相溶性が良く、それぞれの欠点を補う形の材料としても幅広く使用されています。

 

2.特徴
・透明性が高い(PMMAには劣る)。
・比重が1.2とガラスに比べて軽量である。
・耐衝撃性がガラスの約200倍、PMMA の約30倍と優れている。
・-40℃~125℃で使用可能である。
・自己消火性がある。
・電気的特性に優れる。
・寸法安定性に優れる。
・耐溶剤性に劣る。
・アルカリ、熱水で加水分解される。

 

3.用途
■光学関連
PCの用途として有名なものにCDやDVD、光ファイバーなどの用途があります。この分野の需要は全体の約14%です。
■自動車
ヘッドランプやテールランプ、メーター盤、ドアハンドルなどが金属やガラスの代替え品として使用されています。PCの採用により、軽量化やデザインの自由化などの効果があります。この分野の需要は全体の約12%です。
■シート
カーポートなどの屋根材、バルコニーの目隠し板、航空機の窓材などの用途があります。最近では液晶ディスプレイのカバーや位相差板等の用途も広がっています。この分野の需要は全体の約26%です。
■電気・電子・OA機器
私たちの生活で身近なPCといえば、なんといっても携帯電話です。携帯電話にはハウジング(ボディ)をはじめ、電池パック、記憶メディアにもPCが使用されています。この他にパソコン、プリンタ、テレビなどのハウジングにも用途があります。この分野の需要は全体の約30%です。

 

新幹線N700系の窓材には帝人化成㈱の「パンライト 」というPCの単板が使用されています。従来の窓材は複層ガラスの表面にPCシートを貼り合わせたものでした。パンライト の採用により従来と同等以上の耐久性で部材使用量約50%の削減、単位面積当たり約30%の軽量化を達成したそうです。

樹脂の話 第10回~第12回(最終回)

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